ロボットアーム用ローカルネットワーク構築ガイド

PCとロボットアームを直接LANケーブルで接続し、通信するための設定手順です。

PCとロボットアームをLANケーブルで直接接続します。PCにLANポートがない場合は、USB-LAN変換アダプタを使用すると便利です。

準備するもの

  • PC
  • ロボットアーム
  • LANケーブル
  • USB-LAN変換アダプタ (PCにLANポートがない場合)
接続図

PCとロボットアームをLANケーブルで接続します。

PCとロボットアームが互いに通信できるように、それぞれの IPアドレスネットワーク上の機器を識別するための住所のような番号です。 を手動で設定します。同じ ネットワークセグメントIPアドレスの最初の3つの数字の組が同じ範囲のことです。例: 192.168.1.xxx に属するように設定するのがポイントです。

設定のポイント

通常、ルーターを介さない直接接続では、DNSサーバーやデフォルトゲートウェイの設定は不要です。

設定例

PC側の設定

  • IPアドレス: 192.168.1.10
  • サブネットマスク: 255.255.255.0

ロボットアーム側の設定

  • IPアドレス: 192.168.1.20
  • サブネットマスク: 255.255.255.0

※ロボットアーム側の設定方法は、お使いの機種のマニュアルをご確認ください。

Windowsでの設定手順

  1. 「コントロールパネル」を開き、「ネットワークと共有センター」をクリック。
  2. 「アダプターの設定の変更」をクリック。
  3. 使用するLAN接続(イーサネット)を右クリックし、「プロパティ」を選択。
  4. 「インターネット プロトコル バージョン 4 (TCP/IPv4)」を選択し、「プロパティ」をクリック。
  5. 「次のIPアドレスを使う」を選択し、上記のPC設定例の値を入力して「OK」をクリック。

macOSでの設定手順 (GUI)

  1. アップルメニューから「システム設定」を開き、サイドバーで「ネットワーク」をクリック。
  2. 使用するLAN接続(例: 「USB 10/100/1000 LAN」)を選択。
  3. 「詳細...」ボタンをクリック。
  4. サイドバーで「TCP/IP」を選択。
  5. 「IPv4の構成」を「手入力」に変更。
  6. 「IPアドレス」と「サブネットマスク」にPC設定例の値を入力し、「OK」をクリック。

Ubuntuでの設定手順 (GUI)

  1. 画面右上のネットワークアイコンをクリックし、「有線接続の設定」を選択。
  2. 使用中の有線接続の歯車アイコンをクリック。
  3. 「IPv4」タブを開く。
  4. 「IPv4メソッド」を「手動」に変更。
  5. 「アドレス」の欄に、PC設定例のIPアドレスとサブネットマスクを入力して「適用」をクリック。(例: アドレス: 192.168.1.10, ネットマスク: 255.255.255.0)

お使いのプログラム(例: Pythonスクリプト)がロボットアームと特定のポートIPアドレスが住所なら、ポートは建物の部屋番号のようなもの。通信の種類を識別します。を使って通信する場合、PCのファイアウォールがその通信をブロックすることがあります。その際に、この手順でポートの開放を行ってください。通常のping疎通確認だけの場合は、この設定は不要です。

注記

使用するポート番号は、ロボットアームや制御プログラムの仕様によって異なります。事前に確認してください。

Windows Defender ファイアウォールでの設定手順

  1. 「コントロールパネル」から「Windows Defender ファイアウォール」を開く。
  2. 左側のメニューから「詳細設定」をクリック。
  3. 「受信の規則」を選択し、右側のメニューから「新しい規則」をクリック。
  4. 「ポート」を選択して「次へ」。
  5. 「TCP」を選択し、「特定のローカルポート」にロボットアームが使用するポート番号を入力して「次へ」。
  6. 「接続を許可する」を選択して「次へ」。
  7. 規則を適用するプロファイル(通常は「プライベート」)を選択して「次へ」。
  8. 規則に名前(例: RobotArm_TCP_Port)を付けて「完了」。

macOS ファイアウォールでの設定手順 (GUI)

macOSのファイアウォールは、ポートではなくアプリケーション単位で管理するのが一般的です。

  1. 「システム設定」>「ネットワーク」>「ファイアウォール」を開く。
  2. ファイアウォールが「オン」になっていることを確認。(オフの場合はオンにしてください)
  3. 「オプション...」ボタンをクリック。
  4. 「+」ボタンをクリックし、ロボットアームと通信する制御プログラム(アプリケーション)を選択して「追加」。
  5. 追加したアプリケーションの右側が「外部からの接続を許可」になっていることを確認し、「OK」をクリック。

※特定のポート番号で開放したい上級者の場合は、ターミナルで`pfctl`コマンドを使用しますが、通常は上記の方法で十分です。

Ubuntuでの設定手順 (ufw)

Ubuntuの標準ファイアウォール `ufw` を使って設定します。ターミナルを開いて以下のコマンドを実行します。

  1. ufwが有効か確認します: sudo ufw status

    "inactive"と表示されたら、sudo ufw enableで有効にします。

  2. 指定したポートからのTCP通信を許可します(例: ポート番号が6000の場合): sudo ufw allow 6000/tcp
  3. 設定をリロードします: sudo ufw reload

最後に、PCからロボットアームへ正常に通信できるかを確認します。Windowsではコマンドプロンプト、macOSやUbuntuではターミナルを開いて ping コマンドを実行します。

以下のコマンドを実行し、ロボットアームから応答があれば成功です。

ping 192.168.1.20

応答がない場合は、IPアドレスの設定やLANケーブルの接続を再度確認してください。